今更もう戻れない(仮)

好きなものを 好きなように 好きなだけ

Tears in love

四ノ宮那月くんの『Tears in love』が発売された2016年11月23日は、わたしがなっちゃんに出会うよりももっと前、10年以上ずっと好きだったバンドの活動休止ライブでした。
本命盤の活休ライブへ向かう姉への餞別だと妹がフラゲをしてきてくれたおかげで、ライブの前日音源を手に入れて聴くことができました。その時のわたしにはこの曲の歌詞は本当に重くて辛くてCDを聴きながら泣きたい気持ちになりました。
それがこの曲との出会いでした。

(きっと)大人へのなり方とか
(きっと)過ぎ去って消える「今」を
「失う物」と決めつけて
永遠を願ってた

(Tears in love / 四ノ宮那月(CV 谷山紀章))


一度ついてしまったイメージはなかなか消えてくれなくて、活動休止ライブから時間が経っても、この曲を聞くとどうしても活動休止のことが頭をちらついてしまいました。受け入れて、納得して、飲み込んだはずの気持ちが、逆流してくるような感覚がしました。楽しい思い出の方が多かったのに全然それは浮かばなくて寂しい悲しい辛いばっかり。良い曲なのに、聞くとどうしても悲しい沈んだ気持ちになってしまうことが多くて、あまりこの曲を聞かなくなってしまいました。シャニドルの新曲が出ればいつだってなっちゃんの曲を一番聞いていたのに。
そして何より、なっちゃんとは全く関係のないことで曲を聞くのが辛いと思う自分がすごく嫌でした。

(きっと)弱さから囁くまま
(きっと)傷つけた歪なナイフ
砂時計を返すたびに
月の咽びがCry,cry

(Tears in love / 四ノ宮那月(CV 谷山紀章))


5月にライブがありました。これまでの流れからして最新のソロ曲であるこの曲が披露されるのはほぼ確実でした。この曲が聞けるであろう楽しみな気持ちと、何となく不安な気持ちを抱えてライブの当日を迎えました。
2日目参戦だったので絶対にネタバレが入らないように自衛して臨んだのですが、リハの音漏れでこの曲が披露されることは分かってしまいました。でもその時は特に沈んだ気持ちにはなりませんでした。と言うのも、聞こえてきた紀章さんの歌が音源とは違うテンポで、しかもなんかすごく気持ち良さそうに聞こえて、「わーなんかめっちゃ自由に歌ってるんですけどww」ってなんだか面白くなってしまったんです(笑)。でもお陰さまで楽しみの気持ちの割合が格段に大きくなりました。

その曲はライブの中盤、ST☆RISHソロ曲ブロックの3番目に披露されました。来栖翔ソロで下野さんが客席から登場というパフォーマンスで会場の熱が上がった直後だったので自分的に切り替えが出来ておらず「え、、ちょっと待ってまだ無理待ってぇ~」などと口走ってたような気がします。
でもすぐに黙りました。というかステージの全体像を把握して、曲が始まった瞬間に一瞬息が止まりました。
基本的には…というかこの日に関してはこの曲以外は全員オケを流して歌っていたのですが、この曲だけは楽器の奏者が登場してまさかの生演奏だったのです。しかも編成はギター、鍵盤、ビオラ。大好きなAクラスのメンバーの得意楽器で組まれていました。そしてそのためにアレンジが施されていて、音漏れで聞いたテンポの謎はこれでした。紀章さんの気まぐれじゃなかった。
そして3人の音にのせて歌い上げる紀章さん(何でもかんでもばんぎゃるのせいにするのは良くないけど、ばんぎゃるなせいで、やっぱり視覚の情報の優先順位が高いんですよ…目でも音楽を聞いてしまう…。だから歌ってたのは自分の中では紀章さんです)。もう歌い出した瞬間から会場全部を歌声で自分のモノにしてしまうような圧倒的な歌声で、でも高圧的なわけではなくてひとつひとつのフレーズはすごく繊細で綺麗に歌っていて、とても素晴らしかったです。

あれだけ心配していた活動休止のことはほとんど浮かびませんでした。
はじめにちょっとだけ浮かんだけど、すぐに気にならなくなりました。まず、本当に素晴らしい歌や演奏で引き込まれたというのがあります。そしてこの曲が、わたしの思う“那月の歌”だったと今更ながらに気づいたからだと思います。どこがと言われるとうまく言えないんですけど、あの時の谷山紀章さんの歌声が本当に“那月の歌”で、歌詞もメロディもすごく那月のものとして入ってきたんです。
最初に『Tears in love』というタイトルを見た時、ちょっとピンとこない感じがありました。那月の中には悲しいことや辛いことがあった時に表に出てきて守ってくれる砂月という存在がいました。砂月が出ている間のことを那月は全く知りません。そんな守られた存在の那月と“涙”というワードがあまり結びつかなかったのです。でもゲームではすでにそうでしたが、今作のアニメでもついに那月は砂月と向き合います。ここらへん話し出すと止まらないので割愛しますが、悲しいことや辛いことも受け止めて、その上で自分の大切にしたいものを貫いていく那月の在り方がこの曲には強く出ているのかなとライブで聞いてみて個人的に感じました。それに気づいたときにタイトルがすごくしっくりきました。

悲しいものは悲しいし、辛いものは辛い。でもそういうものを全部包み込んで微笑みかけてくれるのが、四ノ宮那月の優しさで強さなんだと、わたしはあの時にこの曲を聞いて思いました。

煌めき照らされる 想いと共にTears in love
(Tears in sunshine)
涙は思い出を色付かせてく
光のジュエル

(Tears in love / 四ノ宮那月(CV 谷山紀章))


「自分が笑顔でいることで幸せが生まれて、それが周りにも広がって、また他の誰かが幸せになる。それが自分の勇気になるし、これからもそれを持って歌いたい」というようなことを言っていた那月。那月の笑顔のため、負の局面を全て背負ってきた砂月。2人の優しさと強さが大好きだし、そんな彼の歌う曲が大好きです。
アニメ4期7話で、なっちゃんがさっちゃんのことを知って、2人で新しく歩き出したとき(個人的にさっっちゃんは今までのように完全別稼働みたくはならなくなったけど消えたわけではないと思っています、思いたい)、自分を守るためとはいえ勝手に自分を奥底に押し込めることがあったさっちゃんに対して「ありがとう」って言うんですよ。本当に良い子。こういう子だから、いやこんな2人だからきっとこんな歌が歌えるんだろうなぁ。

ライブから約半月。ライブの前が嘘のように頻繁にこの曲を聞いています。悲しい思い出がよぎることもあるけど、そんな時もとても穏やかな気持ちで聞いています。
今思うと活動休止に関してあまり悲しくなってはいけない前向きでいなければと無意識のうちに思ってしまうことがあって、ネガティブな気持ちに向き合っていなかった気がします。でも今は自分の中の悲しい気持ちも受け入れられたのかなと思います。

歌ってくれてありがとう。

Tears in heart
Tears in love

(Tears in love / 四ノ宮那月(CV 谷山紀章))


Tears in love

Tears in love

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